金色きんしょく)” の例文
太陽はケープルトン調馬場の彼方に沈みかけて、眼前のゆるやかな傾斜を持つ平原は金色きんしょくに染まり、枯れ羊歯や茨のある部分は濃いばら色がかった褐色に燃えた。
三十三間堂では薄闇の中に金色きんしょく燦爛さんらんとして何列にも立ち並んでいる千手観音せんじゅかんのんの数に驚いた。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
おのおの名にそぐえる姿、鼓の緒の欄干に、あるいは立ち、あるいはて、手に手に五色ごしきの絹糸を巻きたる糸枠に、金色きんしょく銀色の細きさおを通し、糸を松杉の高き梢をくぐらして、つりの姿す。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とこの間と、くろがきの大黒柱を境にしてならんでいる仏壇の奥に、金色きんしょく燦然さんぜんたる阿弥陀如来あみだにょらいが静まりかえって、これも黄金おうごん蓮台れんだいのうえに、坐禅を組んでいる。その下に、朱塗りの袋戸棚がある。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
牧場の緑が遠い金色きんしょくを帯びた白の中へ消えて行くようである。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)