重味おもみ)” の例文
そういう悲しい思出は数ある楽しかったことよりも深く、博士が腕にかかえて帰京なされた、遺骨の重味おもみと共に終世お忘れにならないことでしょう。
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「へい、ようございます。……おい、為、寅、駕籠部屋から駕籠をひきだして、お氷の箱ぐらい重味おもみを乗せておけ」
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
なまり重味おもみにしばられて、とうとう鯔はそのなかにくるまってしまったが、同時に頭の上で
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして口をきくほうにかけてもかなり重味おもみがあると人から思われていた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
煉瓦を運ばされるやうになつてからは、番頭がやかましくて、もう娘の分まで働いてやれなくなつたが、其代り娘がつまづきはせぬか、煉瓦の重味おもみつぶされはせぬかと、始終其様そんな事ばかり気にしてゐた。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
「伯爵は、とつぜんロープに下って下りてきたのです。ところがそのロープにはダビットさんとラツールさんがとりついていたもんだから、三人の人間の重味おもみにはたえられなくなって、ぷつりとロープが切れたんです」
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)