避雷針ひらいしん)” の例文
その上にそそりたつとんがり帽子みたいな屋根のてっぺんの避雷針ひらいしんの鉄の柱のねもとに、なにものかが、うごめいているのです。
塔上の奇術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
五分とは眠らないうちに、はねの下からはいだして、避雷針ひらいしんとといをつたって、地面にすべりおりたのです。
臍で思い出しましたが、臍にえんのあるかみなりさまの話ですが、あれを避けるのに避雷針ひらいしんというものがあります。
科学が臍を曲げた話 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
さきなゝめんで、大屋根おほやねたかむねなる避雷針ひらいしん尖端とつたんに、ぱつととまつて、ちら/\とあをかゞやきます。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
向う側の家並も見えないような雨足に叩かれて、ムッと立昇る土の香、——近頃の東京と違って電気事業も避雷針ひらいしんもない江戸時代には、びっくりするような大夕立が時々あったということです。
そのてっぺんに、避雷針ひらいしんのような長い鉄棒があり、それにつかまって、魔法博士がスックとつっ立っていたではありませんか。
虎の牙 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
向う側の家並も見えないやうな雨足に叩かれて、ムツと立ち昇る土の香、——近頃の東京と違つて電氣事業も避雷針ひらいしんもない江戸時代には、びつくりするやうな大夕立が時々あつたと言ふことです。
変なこともあるものだと思ってよく見ますと、その針金というのは、西洋館の尖った屋根の頂上に立っている避雷針ひらいしんから出ていることが分りました。
赤い部屋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
まっ赤な地色じいろに、白い水玉もようのある、だぶだぶの道化服、その赤い道化師が、時計塔のとんがり屋根のてっぺんに立って、避雷針ひらいしんのながい棒につかまっているのです。
塔上の奇術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)