遠吼とほぼえ)” の例文
洗ふ波の音は狼みの遠吼とほぼえとも物凄ものすごくお里はしきりに氣をもめども九郎兵衞は前後も知らず高鼾たかいびき折から川の向よりザブ/\と水をわけ此方こなたへ來る者ある故お里は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
よく見ると其の中にも雌の歓心を得てゐる犬とゐない犬とがあつて、怪しげな遠吼とほぼえのやうな声を出して吠え立てゝゐるのは其のゐない方の犬であることが判る。
落葉降る下にて (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
商ふ物賣ものうりの聲も花街くるわ商人あきんど丁稚でつち寢言ねごと禿かふろと聞え犬の遠吼とほぼえ按摩針あんまはりの聲迄もすべ廓中くるわの事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)