“遠出(とおで)” の例文
長兵衛の法事は四月の十三日でしたが、この三月の十九日に子分の幸次郎と善八をつれて、初めて小金井へ遠出(とおで)を試みたと云う訳です。
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
まだ遠出(とおで)をする猫ではなし、何時(いつ)居なくなったろうと評議する。細君が暫らく考えて「朝は居ましたよ、葱(ねぎ)とりに往く時私に跟(つ)いて畑なぞ歩いて居ました」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
どこの小頭(こがしら)の家でもそうであるが、夜業(やぎょう)、朝業(あさぎょう)、遠出(とおで)などの荷役のときには、五十人前——百人前という弁当をつくることが稀でないので、炊きだしの整備はととのっていた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
芸者その頃冬の夜道を向嶋あたりへ遠出(とおで)に行く時、お高祖頭巾(こそずきん)をかぶるもありき。四角なる縮緬(ちりめん)の角に糸を輪にして付け、それを耳朶(じだ)にかけてかぶるなり。小袖(こそで)には糸織縞に意気な柄多くありたり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「毎日の遠出(とおで)でくたびれただろうが、これも御用で仕方がねえ。早く家(うち)へ帰って、かみさんを相手に寝酒の一杯も飲め」
半七捕物帳:51 大森の鶏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)