道行振みちゆきぶり)” の例文
天象、地気、草木、この時に当って、人事に属する、赤いものと言えば、読者は直ちに田舎娘のおば見舞か、酌婦の道行振みちゆきぶりを瞳に描かるるであろう。いや、いや、そうでない。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と云いながらおひねりをこしらえて小僧に渡す、小僧はこれを持って参り、障子を明けると鼠無地の道行振みちゆきぶりのようなものを着て、下は木綿かつむぎか分りませんが、矢張やっぱり鼠無地の小袖でございます
いずれも自分の親としてよい年輩の人々で、そのうちの一人は手製の東坡巾とうばきんといったようなものをかぶって、鼠紬ねずみつむぎ道行振みちゆきぶりているという打扮いでたちだから、だれが見ても漢詩の一つも作る人である。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
するといつの間にかうしろに立って居りました人の行装なりは、二十四ふしの深編笠を冠り、鼠無地の着物に同じ色の道行振みちゆきぶりを着て、木剣作りの小脇差をし、合切袋を肩に掛けて、余程旅慣れて居ると見え
わしは帰るからね、其処らに道行振みちゆきぶりが有ろうから取っておくれ」