遅々のそのそ)” の例文
旧字:遲々
で、一旦内へ引返ひっかえして、応急の薬剤と繃帯ほうたいとを用意して、足早に表へ出ようとする時、七兵衛父爺じじい寝惚眼ねぼけまなここすりながら裏口を遅々のそのそ出て来た。出逢頭であいがしら喫驚びっくりして
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
富山の友人から貰ったトムと云う大きな西洋犬せいよういぬが、主人父子おやこの後を遅々のそのそいて行った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こういっていると、果して何処どこからか青い動物が遅々のそのそと這い出して来る。彼は悠然として滝の下にうずくまる。そうして、楓の葉を通して絶間たえまなしに降り注ぐ人工の雨に浴している。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)