辺鄙ひな)” の例文
旧字:邊鄙
心配の最中でありながら千利休を師として茶事さじを学んで、秀吉をして「辺鄙ひなの都人」だと嘆賞させたが、氏郷は早くより茶道を愛して、しかも利休門下の高足であった。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
旗を天下に吹靡ふきなびかすことも成ろうに、大禄を今受けたりとは申せ、山川遥に隔たりて、王城を霞の日に出でても秋の風にたもとを吹かるる、白川の関の奥なる奥州出羽の辺鄙ひなに在りては
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さすがに辺鄙ひなでもなまめき立つ年頃としごろだけにあかいものや青いものが遠くからも見え渡る扮装つくりをして、小籃こかごを片手に、節こそひなびてはおれど清らかな高いとおる声で、桑の嫩葉わかばみながら歌をうたっていて
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)