すなは)” の例文
僕も三度ほどなやされたが、柔能く剛を制すで、高利貸アイスには美人が妙! 那彼あいつに一国を預ければすなはちクレオパトラだね。那彼には滅されるよ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
茶山と山陽との友登々庵武元質とうとうあんたけもとしつが二月二十四日に歿した。これは茶山のすなはち信ずることを欲せざる凶報であつた。「遠郷恐有伝言誤。将就親朋看訃音。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
然れども道徳的并に知識的の生活は其の本來の性質に於て既に相對の價値を有するに過ぎず、是を以て己れより優れるにはすなはち移り、己れより強きものには輙ち屈す。
美的生活を論ず (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
嘗てまのあた査列斯チヤアルス四世をあざけりて、徳の遺傳せざるをば、汝に於いてこれを見ると云ひき。羅馬と巴里とより、月桂冠を贈らんとせしとき、ペトラルカは敢てすなはち受けずして、三日の考試に應じき。
すなはち橋を渡りてわづかに行けば、日光くらく、山厚く畳み、嵐気らんきひややか壑深たにふかく陥りて、幾廻いくめぐりせる葛折つづらをりの、後には密樹みつじゆ声々せいせいの鳥呼び、前には幽草ゆうそう歩々ほほの花をひらき、いよいよのぼれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
われおもふに總ての學問は人を益するを待ちてわづかに成立つとも定めがたかるべし。談理まことに毫釐がうりの益を文壇に與ふることなからむか。われ未だすなはちこれを斥けむとせざるべし。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
然れども或は勇士意氣に感じてはすなはち身を以てあひるし、或は受くる所は※に一日の粟、而かも甘じて己れを知る者の爲に死す。是の間の消息何ぞ至善あらむ、何ぞ目的あらむ、又何ぞ手段あらむ。
美的生活を論ず (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)