)” の例文
『魯文珍報』は黎明れいめい期の雑誌文学中、や特色があるからマダシモだが、『親釜集』が保存されてるに到っては驚いてしまった。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
叔父がや遠方から偵がふと、怪しむべし、新夫婦のみ籠つた新築の離れ屋の、ぐるりの石垣に、幾らともなく横さらふ角鹿の蟹樣の物が取付き這廻る。
蓮の花開く音を聴く事 (旧字旧仮名) / 南方熊楠(著)
だ異なるは前者の口舌の謇渋けんじゅうなるに反して後者は座談に長じ云々と、看方みかたに由れば多少鴎外をけなして私を揚げるような筆法をろうした。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
コイツは餘りアテに成ぬが、や似た事が古羅馬に在て、新夫が新婦と營生するには、必ず先づ新婦の帶を極めて解け難く結んだ、所謂ヘルクレス結びを解き果すを要した。
蓮の花開く音を聴く事 (旧字旧仮名) / 南方熊楠(著)
十数年以往こっち文壇と遠ざかってからはや無関心になったが、『しがらみ草紙』や『めざまし草』で盛んに弁難論争した頃は
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
トルストイやドストエフスキーの偉大を認めつつもやもすれば軽侮する口気をらし
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ア黙つてろよ。」と亀井と呼ばれた男は顧盻ふりかへつてや得意らしき微笑を浮べつ
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
二葉亭の対露問題は多年の深い研究とした夙昔しゅくせきの抱負であったし、西伯利シベリアから満洲を放浪し、北京では中心舞台にや乗出していたし、実行家としてこそさしたる手腕を示しもせず
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
二葉亭はたちま底力そこぢからのある声で「明月や……」とうなって、や暫らく考えた後
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
『牡丹燈籠』は『書生気質』の終結した時よりやおくれて南伝馬町の稗史出版社(今の吉川弘文館の横町)から若林玵蔵氏の速記したのを出版したので、講談速記物の一番初めのものである。