軽忽かるはずみ)” の例文
旧字:輕忽
然し汝に感服したればとて今直に五重の塔の工事しごとを汝に任するはと、軽忽かるはずみなことを老衲の独断ひとりぎめで云ふ訳にもならねば、これだけは明瞭はつきりとことわつて置きまする
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
必ず軽忽かるはずみなことをすまいぞ、むむ姉や、見りゃ両親ふたおやも居なさろうと思われら、まあよく考えてみさっせえ。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかしそなたに感服したればとて今すぐに五重の塔の工事しごとを汝に任するわと、軽忽かるはずみなことを老衲の独断ひとりぎめで言うわけにもならねば、これだけは明瞭はっきりとことわっておきまする
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
てまえども身柄、鬼神を信ぜぬと云うもいかがですが、軽忽かるはずみ天窓あたまからあやしくして、さる御令嬢を、ひきがえる、土蜘蛛の変化へんげ同然に心得ましたのは、俗にそれ……棕櫚箒しゅろぼうきが鬼、にもまさった狼狽うろたえ方
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いまにもう少し年紀としでも取って、ちったあ分別がついて来ると、成程無理はなかったと、自分のしたことに気が付いて私の心も知れるから、体だけ大事にして軽忽かるはずみをしないで辛抱しな。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「一所に散歩をしようと思ったけれど、降りそうだから僕はもう失敬するよ、それじゃあ君、議論は議論だが実際は実際だ、よく考えて軽忽かるはずみなことをしたもうな。」と年下の友に熟々つくづく言われて
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だから、最初はじめッから、お前さんに棄てられると、わたいはどうなるか知れないッて、始終いっていたのにさ、打遣うちやってしまってさ、そして軽忽かるはずみなことをするなッて言ってくれたってわたいは知りません。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)