躾方しつけかた)” の例文
それに彼女は、自分がそう云う躾方しつけかたをされたことがないので、伯母の折檻が始まると、おびえたような眼つきをして伯母の顔を盗みるのであった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
知ッてますよ、手習師匠兼業のやっこなんで、媽々かかあが西洋の音楽とやらを教えて、そのばばあがまた、小笠原礼法躾方しつけかた活花いけばな、茶の湯をあきなう、何でもごたごた娘子むすめッこすきな者を商法にするッていいます。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
またその躾方しつけかたは温和と活溌かっぱつとを旨とし、大抵たいていの処までは子供の自由に任せる。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あの妹をああ云う時代おくれの女に育てたのは家庭の躾方しつけかたが悪かったので、これと申すも、母を早く失い、若くして父にも別れた境遇のせいであるけれども
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それ、えへん! と云えば灰吹と、諸礼躾方しつけかた第一義に有るけれども、何にも御馳走をしない人に、たといおくび葱臭ねぎくさかろうが、干鱈ひだらの繊維がはさまっていそうであろうが、お楊枝ようじを、と云うは無礼に当る。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは独逸語で仏蘭西フランスと云うことだと貞之助に教えられて、今更のように独逸人の家庭の躾方しつけかたを思いやった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)