“踏躪”の読み方と例文
読み方割合
ふみにじ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そこか此処ここかと声するかたを辿って行くと、いやが上にも生い茂れる熊笹や歯朶しだの奥に於て、たしかに人のうめくを聞いた。そこらの枝や葉は散々さんざん踏躪ふみにじられて、紅い山椿のつぼみが二三輪落ちていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
葬儀でもした後と見え、祭壇をこしらえた一段高いところに作付つくりつけの燭台に蝋燭が燃え残り、床の上には棺に供えた団子トワンツーや供養の金箔紙ターキン白蓮花びゃくれんげの仏花などが落ち散って無残に踏躪ふみにじられている。
御免なせえまし、御新姐様、御免なせえまし、と夢中ながら一心に詫びると、踏躪ふみにじられる苦悩の中から、目を開いて、じろじろと見る瞳が動くと、口も動いて、莞爾にっこりする、……その唇から血が流れる。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)