足軽頭あしがるがしら)” の例文
旧字:足輕頭
「何じゃああの棟方与右衛門ちゅう奉行は、あんでもえ、足軽頭あしがるがしらだったというでねえか、足軽に百姓のことが分ってたまるもんでねえ」
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
貞固と東堂とは、共に留守居の物頭ものがしらを兼ねていた。物頭は詳しくは初手しょて足軽頭あしがるがしらといって、藩の諸兵の首領である。留守居も物頭も独礼どくれいの格式である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
身柄はふにも足らぬ足軽頭あしがるがしらに過ぎざりしが、才覚ある者なりければ、廃藩ののちでて小役人を勤め、転じて商社につかへ、一時あるひは地所家屋の売買を周旋し、万年青おもとを手掛け、米屋町こめやまち出入しゆつにゆう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
足軽頭あしがるがしらを勤めていただけに、最も、若い者の肚をよく噛みわけてくれるし、又、自身も多分に若い気でいる惣右衛門であった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長浜城の足軽頭あしがるがしら木村大膳きむらだいぜんの手についている足軽で、どういうところから来た名まえか、市脚いちあし久兵衛きゅうべえと名のる男だった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足軽頭あしがるがしら惣右そうえは、汗の顔に、わらごみを取ッつけて駈けてきた。村松、奥田の二老人は、早口に
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勿論、棟方与右衛門だけが、君命をうけたわけではないが、生憎あいにくと、足軽頭あしがるがしらである与右衛門は、その朝、組下を連れてこの弘前城ひろさきじょうの二の丸へ早くから出ていたので、出羽守の眼にとまって
(新字新仮名) / 吉川英治(著)