“趣(しゆ)” の例文
譬へばあの男が龍蓋寺の門へ描(か)きました、五趣(しゆ)生死(しやうじ)の繪に致しましても、夜更(よふ)けて門の下を通りますと、天人の嘆息(ためいき)をつく音や啜り泣きをする聲が、聞えたと申す事でございます。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
今出川菜つみ流ししおもひでや趣(しゆ)なき此日を忌む頻なる
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
五趣(しゆ)生死(しやうじ)の圖を描く爲には、道ばたの死骸さへ寫したと云ふ、傲慢なあの男が屏風の畫が思ふやうに描けない位の事で、子供らしく泣き出すなどと申すのは隨分異なものでございませんか。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
現に龍蓋寺の五趣(しゆ)生死(しやうじ)の圖を描きました時などは、當り前の人間なら、わざと眼を外(そ)らせて行くあの往來の屍骸の前へ、悠々と腰を下ろして、半ば腐れかかつた顏や手足を、髮の毛一すぢも違へずに
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)