貢税みつぎ)” の例文
地方の民が、大蔵省へ馬で貢税みつぎを運び入れながら唄った国々の歌が催馬楽さいばらとなったといわれるが、田楽ももとは農土行事の田植え囃子ばやしだった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
内裏様だいりさまがどちらであろうと、わしらには何のかかわりもない」「ひどい貢税みつぎや戦のない世でさえあるならば……」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ここらは生きた人間のいる所。なまぬるい都の風は吹いておらんぞ。何しに来たか、貢税みつぎ肥りのぬすめら」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「笑わすな。貢税みつぎ膏血こうけつでぶよぶよ肥っている廟堂びょうどうの豚めが。梁山泊で赤恥かいた上、ここへ来てまで尻の穴で物をいう気か。人民の敵とは、うぬらのことだ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
豊年には、水分川の水のとどく限りな領下から貢税みつぎをとりあげ、水涸みずがれには、素知らぬ顔でいいものか。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
公人くにんとは、僧ではない。雑掌ざっしょうの上役とでもいえようか。荘園の貢税みつぎをつかさどる山門の武士である。その掃部かもんは、倉皇として来て、みる灯の遠くに、平伏した。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)