象戯しょうぎ)” の例文
家康が入ってゆくと、そこの一隅に、蝋燭ろうそくを一本立てて、象戯しょうぎをさしている男がある。見ると、そのひとりが又四郎だった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猴の黠智かっち驚くべし、ある説に猟人もちくつを備うるに猴その人の真似して黐を身に塗り履を穿きて捕わると、ムキアヌスは猴よく蝋製のこまを識別し習うて象戯しょうぎをさすといった。
私は、ふと象戯しょうぎをしたく思って、どうでしょうと誘ったら、深田久弥も、にこにこ笑いだして、気がるく応じた。日本で一ばん気品が高くて、ゆとりある合戦をしようと思った。
狂言の神 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「オオ。何やらちと退屈をおぼえた、そちを相手に、象戯しょうぎでもさそうかと思うて。ばんをこれへもて」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
象戯しょうぎをさしているうちに、いつか主従の見さかいも忘れ、余りに暴言を吐くので、らしめてくれようとしたところ、さらに悪罵あくばを放って、逃げて行ったというのである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)