謙遜へりくだ)” の例文
かしこに謙遜へりくだれる聖歌の作者きぬひきかゝげて亂れ舞ひつゝ恩惠めぐみうつはにさきだちゐたり、この時彼は王者わうじやに餘りて足らざりき 六四—六六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
年の頃は二十五六、平次と幾つも違いませんが、謙遜へりくだって、隅っこに丸く坐り、狭いあわせで膝小僧を隠している様子は、いかにも人柄らしく見えます。
だが、それは、その時かすかに吹いてゐた風に乘つて、飛び散つてしまつたやうに思はれた。で、私はその祈を止めて、變化と刺㦸を求めて、もつと謙遜へりくだつた嘆願をした。
「それぢや、どこに吾々の安心を得ませう。」と田住は謙遜へりくだつた声で尋ねた。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
と、謙遜へりくだった気持にもなるし、またその気持を乗りこえたものが
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、あらたまって謙遜へりくだりつつ言ったのである。——
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
またある時はみずから野卑やひと称するほど謙遜へりくだる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「少しばかりの改良——といわれるけれど、本当はその仕事が実に大変なことなんでしょう、そんなに謙遜へりくだることはありませんよ、絶対ありません、とにかくこれだけ出来ればすばらしい成功です、寧ろ大いに自慢し宣伝した方が、国家のためだと思いますね」
火星の魔術師 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
相手は町人ながら苗字帯刀を許された身分、平次は謙遜へりくだって挨拶しました。
光秀は、謙遜へりくだって
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相手は町人乍ら苗字帶刀を許された身分、平次は謙遜へりくだつて挨拶しました。