諸倒もろだお)” の例文
そして驚く耀蔵の耳へ口をよせながら、ううーむ……と作り声をあげて、彼のからだにからみながら、諸倒もろだおれに、して首を垂れた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顔をかかえて、友達の胸へ、勢いよく頭を持ってゆくと、二人が、諸倒もろだおれに、西瓜屋の縁台へ転がった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軍鶏しゃもと軍鶏のように、羽がいを組み合わせたまま、地上に諸倒もろだおれとなっていた虎之助は、自分の具足の緒をつかんでいる死力のこぶしぎ放すと、ぶるぶるッと、血ぶるいしながら
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、横あいから名乗った男が、義元の首へ組みついて、諸倒もろだおれに転がった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たもとが腕に巻きついたほどそれは確かな打力だった。だが、しかし李逵にはこたえもせず、逆に相手の腰の辺へ猛烈な足蹴あしげをくれた。男がよろめく。体当りに、諸倒もろだおれとなる。李逵が上だった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)