覚書おぼえがき)” の例文
旧字:覺書
もし彼らの行者生活が長く続いていたとすれば、これらの覚書おぼえがき類は時の進むとともに、幾たびかその価値を変化しているはずである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「同じく九年一月、奥山大学が仙台で幕府の国目付(千本ちもと兵左衛門、水野与左衛門)に覚書おぼえがきを差出した、しかし両目付はこれを拒んで受取らなかった」
スクラトン裁判長が陪審ばいしん官に示した要点の覚書おぼえがきというのが、雄弁にこの犯罪の内容を物語っている。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
五百いお覚書おぼえがきるに、三百石十人扶持の渋江の月割が五両一分、二百石八人扶持の矢島の月割が三両三分であった。矢島とは後に抽斎の二子優善やすよしが養子に往った家の名である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その後、享保きょうほうの頃になって、天草陣惣八覚書おぼえがきという写本が、細川家の人々に読まれた。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
戸田左門覚書おぼえがきにも三成の子の左吉と云う者が佐和山より逃れて高野に走ったことを記していると云うから、隼人正と左吉と同一人なりや否やは明かでない迄も、誰か三成の遺児のうちに
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
(八)祈祷きとう書に挟める犢皮こうしがわに記したる覚書おぼえがき(大英博物館所蔵)
ジェイン・グレイ遺文 (新字旧仮名) / 神西清(著)
「八丁堀合点長屋店人釘抜藤吉捕物覚書おぼえがき
私の日記覚書おぼえがきにもチョイ/\記してある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
能八郎は覚書おぼえがき懐中ふところから出して
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
湯島の家の居間で、原田甲斐は机に向かって覚書おぼえがきを書いていた。