見認みと)” の例文
人は『源氏物語』や近松ちかまつ西鶴さいかくを挙げてわれらの過去を飾るに足る天才の発揮と見認みとめるかも知れないが、余には到底とうていそんな己惚うぬぼれは起せない。
『東洋美術図譜』 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
是だけで考えて見ると何うも秀子の仕業と見認みとめぬ訳に行かぬ、けれど少し合点の行き難いは、何うして何時の間にお浦を殺し何時の間にアノ室で其の死骸を隠し
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
余は人も我も博識と見認みとめたる神学者に異端論者と定められたり、余は実に異端論者にあらざるか
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
この田舎者いなかものは胃病と見える。彼らは満洲の野に吹く風のにおいも知らぬ。現代文明のへいをも見認みとめぬ。革命とはいかなるものか、文字さえ聞いた事もあるまい。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
余が無罪の証拠と見認みとむる者はこと/″\く有罪の証拠なり細君の言葉は仮令たとい目科の評せし如く幾分か「小説じみ」たるに相違無しとするも道理に叶わぬ所とては少しも無し
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
... 隠す為とは思いますけれど、其の秘密が果たして宝で有るとも見認みとめ得ませんが」秀子
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)