見出みい)” の例文
その何処いずこにも興味を見出みいだし得なかった彼は、会談の圏外けんがい放逐ほうちくされるまでもなく、自分かららちけ出したと同じ事であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それに対する地球の引力は距離の遠いだけ減っているのを見出みいだし、その大きさが丁度ちょうど距離の二乗に逆比例するということを計算で出したのでした。
ニュートン (新字新仮名) / 石原純(著)
しかし藪地へ届かない前に彼は敵に見出みいだされた。それはオンコッコの仲間ではなくて、日英同盟の軍隊であった。すなわち来島十平太とゴルドン大佐との連合軍であった。
緩慢な、回顧的な生活にのみ囲繞いにょうされている地上の生活に於て、私はその最も純粋に近い現われを、相愛の極、健全な愛人の間に結ばれる抱擁に於て見出みいだすことが出来ると思う。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
美しきこの処女谷を見出みいでたるわが喜びの似るものもなき
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
すべてお秀が背負しょって立たなければならないという意味であった。したがってお延の心は存外平静であった。少くとも、良心に対してましい点は容易に見出みいだされなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)