覇者はしゃ)” の例文
聞説きくならく。——巌流佐々木小次郎という者は、今では中国九州にわたって人もゆるす達人、その道の覇者はしゃ
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乾坤の二刀をいたその年の覇者はしゃを先頭に、弥生が提灯ちょうちんをさげて足もとを照らし、鉄斎老人がそれに続いて、門弟一同行列を作りつつ、奥庭にまつってある稲荷いなりのほこらへ参詣して
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かりそめにも天下の覇者はしゃ右大臣家たるものが、そんな平民的な真似を遊ばしてよいだろうかと案じていたが、民衆の声は、まったく自分の憂いとは反対なものであったので
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いまを利して、自分の上にも超え出ようとしている覇者はしゃと、彼を注視していたのだった。
……したが、今度という今度の一戦では、いやでもこれをさいごに世の覇者はしゃを決し、いわば大風一過たいふういっかの世となるだろう。そしたらむごい兵糧米の加役などもちょうするにはおよばなくなる。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聡明なる覇者はしゃも、佞奸ねいかんの眼から見れば甘い。覇者なるが故の弱点がある。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)