覇王樹さぼてん)” の例文
旧字:霸王樹
この覇王樹さぼてんも時と場合によれば、余のはくを動かして、見るや否や山を追い下げたであろう。とげに手を触れて見ると、いらいらと指をさす。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夏早やも棘に花さく覇王樹さぼてんの琉球びともすべなかるらし (某々両先生に二首)
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ヌルヌルした肌をおののかせ、無恰好な手足を藻掻もがく、大蜘蛛の様なえぞわかめ、水底の覇王樹さぼてんと見えるかじめ、椰子やしの大樹にもすべきおおばもく、いやらしい蛔虫かいちゅう伯母おばさんの様なつるも
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
覇王樹さぼてんのくれなゐの花海のべの光をうけてはつし居り
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
近寄って見ると大きな覇王樹さぼてんである。高さは七八尺もあろう、糸瓜へちまほどな青い黄瓜きゅうりを、杓子しゃもじのようにしひしゃげて、の方を下に、上へ上へとあわせたように見える。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)