褄捌つまさば)” の例文
一人がもう、空気草履の、なまめかしい褄捌つまさばきで駆けて来る。目鼻は玉江。……もう一人は玉野であった。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一人がう、空気草履くうきぞうりの、なまめかしい褄捌つまさばきで駆けて来る、目鼻は玉江たまえ。……う一人は玉野たまのであつた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今言ったその運転手台へ、鮮麗あざやかに出た女は、南部の表つき、薄形の駒下駄こまげたに、ちらりとかかった雪の足袋、紅羽二重こうはぶたえ褄捌つまさばき、柳の腰になびく、と一段軽く踏んで下りようとした。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、縁をうつくしい褄捌つまさばき、袖の動きに半帕を持添えて、お滝のてのひらへ、ひしと当てた。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さ、さ、とお絹の褄捌つまさばきが床を抜ける冷たい夜風に聞えるまで、闃然げきぜんとして、袖に褄に散る人膚ひとはだの花の香に、穴のような真暗闇まっくらやみから、いかめの鬼が出はしまいか——私は胸をめたのです。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)