袖部屋そでべや)” の例文
気転きてんよくたった小姓こしょう藤巻石弥ふじまきいしや、ふと廊下ろうかへでるとこは何者? 評定ひょうじょう袖部屋そでべやへじッとしゃがみこんでいる黒衣こくいの人間。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それまで、楽屋のかがみ袖部屋そでべやか——うしろの用部屋において、ひかえておれ。どこへも、決して、起たぬように
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのとき本堂の袖部屋そでべやに、ざわざわと人のけはいがした。むつまじくはなしこんでいた夫婦はあいだをいて向き直った。見れば一族近親の老幼たちであった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
広い評定ひょうじょうの間とそのほかの袖部屋そでべやまで、すべてのふすまをとりはずし、さながら連日連夜の大地震でも避難しているように、一門一族、家老その他、みな起居を共にし、雑居しているのだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)