街衢ちまた)” の例文
こんな調子で、あだかも繁華な街衢ちまたを歩く人が、右に往き、左に往きして、ひとを避けようとするように、実はなるべく弟に触るまい触るまいとしていた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼に属せざる者かれの天幕に住み……彼の跡は地に絶え彼の名は街衢ちまたに伝わらじ……彼はその民の中に子もなく孫もあらじ……これが日(審判を受けし日)を
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
こころににがい移住を告げて、内側から凍りつく鰊のたぐひを啖ひ、日毎無頼の街衢ちまたから出はづれては歌もなく、鉄のやうな杳かの湾流がもたらす風の、勒々とした酔ひのひと時を怖れた彼等。
逸見猶吉詩集 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
をりをりは忍び入るらむおどけたる街衢ちまた囃子はやし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
見よ、にがやみをり街衢ちまたにはよどみとろげど
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
青甕あをがめぞ。』——街衢ちまたに聲す。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
古き醋甕すがめ街衢ちまた
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)