てだて)” の例文
敵の出で来るを恐れては勿々なかなか軍はなるまじ、その上に延々のびのびとせば、横山つい攻落せめおとさるべし。但し此ほかに横山をたすけんてだてあるべきや。
姉川合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
てだてを尽くして防ぎ止めんとせしかいもなく、目には見えねど浪子の病はひびに募りて、三月の初旬はじめには、疑うべくもあらぬ肺結核の初期に入りぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
さてその上のてだてもあらねば、やがては迷ひの雲霧も晴れて、真如の月を見る事もやと、心ならずも打過ぎぬ。
当世二人娘 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)