行基ぎょうき)” の例文
行基ぎょうき良弁ろうべんのごとき名僧が側近にたすけたことも見逃しえないが、しかしここに感得さるるのは、そういう外的事情のみではない。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
それまでの日本は行基ぎょうき本地垂迹説ほんちすいじゃくせつもといを開いた、神仏混交時代が長く長く続きました。
そこから木立を隔てて見えるのは、月光の底に沈んでいる二十八柱の大伽藍だいがらん、僧行基ぎょうきのひらくという医王山薬師如来やくしにょらい広前ひろまえあたり、嫋々じょうじょうとしてもの淋しい遍路へんろりん寂寞せきばくをゆすって鳴る……。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
行基ぎょうきの起こした宗教運動に対しては当時の官権は同情を持たなかった。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
仏教はむろん一般民草のあいだに浸透していたわけではない。行基ぎょうきや良弁のごとき人々がようやく教化の門立かどだちにのぼろうとしていた頃である。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
丈六じょうろくの薬師如来を行基ぎょうきをして造顕せしめた、って現在の寺が草創されたという。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)