さざえ)” の例文
さざえのふたは、金槌かなづちでも、開かないことを知っていた。さざえの貝のしりあぶれば、自然、中身は抜けるという卑俗ひぞくな道理を、かれは先頃から考えていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水野は、これだけはご免だとまじめで言う、いよいよ他の者はこいつおもしろいと迫る、例の酒癖がついに、本性ほんしょうを現わしてさざえのようなやつを突きつけながら、罰杯の代にこれだと叫んだ。
遺言 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)