“蝋鞘（ろざや）” の例文
ト諸君はお竹蔵と云うのを御存じの筈（はず）と思う。あの屋根から、誰が投げて、どのがらくたに交ったか、二尺ばかりの蝋鞘（ろざや）が一口（ひとふり）。
日本橋 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
所々剥（は）げた蝋鞘（ろざや）の大小を見栄もなくグッタリと落とし差しにして、長く曳いた裾で踵（かかと）を隠し泳ぐようにスースーと歩いて来る。
日置流系図 (新字新仮名) ／ 国枝史郎(著)
薄く青髭（あおひげ）が生えて居りまして、つや／＼しい大結髪（おおたぶさ）で、けんぽう行義（ぎょうぎ）あられの上下（かみしも）に、黒斜子（くろなゝこ）の紋附を着、結構な金蒔絵（きんまきえ）の印籠（いんろう）を下げ、茶柄（ちゃづか）に蝋鞘（ろざや）の小脇差を差して居りますから
粟田口霑笛竹（澤紫ゆかりの咲分）：02 粟田口霑笛竹（澤紫ゆかりの咲分） (新字新仮名) ／ 三遊亭円朝(著)