虚飾きょしょく)” の例文
虚飾きょしょくをはぎとったのだ。本然の姿に戻ったのだ。剣刀つるぎたち身にうる丈夫ますらおのいでたちとはこれだ! あはははは。どうだ!
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
なんの詠嘆えいたんでもない、悲嘆でもない、そう痛切なる感慨では決してなかった。ふと——しかしなんらの虚飾きょしょくもない心の底から——ふっとのぼったつぶやきであった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは、決して、虚飾きょしょくや、阿諛あゆからではなくて、如何いかなる場合にも他人に一縷いちるの逃げみちを与えてくつろがせるだけの余裕を、氏の善良性が氏から分泌ぶんぴつさせる自然の滋味じみほかならないのです。
ここの寺も、住持が変り者なので、ひどく虚飾きょしょくがない。がらんとして巨大な空洞のようである。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉のおとずれも、実に無造作むぞうさな突然であったが、景勝の迎え方も、虚飾きょしょくのない率直さであった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして飽くまで、策なく、虚飾きょしょくなく、白紙でこの人に対そうと、自分を持していた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)