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薫蒸
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くんじょう
ふりがな文庫
“
薫蒸
(
くんじょう
)” の例文
顧みれば娘の桂は、涙の顔を挙げて、二つ三つ
点頭
(
うなず
)
いて見せるのです。涙に
薫蒸
(
くんじょう
)
されて、匂いこぼるる
処女
(
おとめ
)
の顔の美しさ——
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
身を
揉
(
も
)
むほどに、娘の身体がしっとり汗ばんで、
薫蒸
(
くんじょう
)
された
脂粉
(
しふん
)
の匂いが、揉み合うガラッ八をふんわりと押し包みます。
銭形平次捕物控:058 身投げする女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
十八娘の美しさが、恐怖と激情に
薫蒸
(
くんじょう
)
して、店中に匂うような
艶
(
なまめ
)
かしさ。
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
絞
(
しぼり
)
の帯も、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
襦袢
(
じゅばん
)
も乱れて、中年男のセピア色の腕にムズと抱えられます。
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
埃臭く、
黴
(
かび
)
臭く淀んだ大納戸の空気は、美女の苦悩の声と折檻に絞り出された汗に
薫蒸
(
くんじょう
)
して、言いようもなく不思議な匂いを醸し出すのを、平次は顔を
反
(
そむ
)
けて我慢しました。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女はいきなり笑い出しましたが、
麻布
(
あざぶ
)
中の空気を
薫蒸
(
くんじょう
)
するような笑いです。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
薫
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
蒸
常用漢字
小6
部首:⾋
13画
“薫”で始まる語句
薫
薫陶
薫香
薫物
薫風
薫々
薫習
薫育
薫陸
薫染