薄給はっきゅう)” の例文
今も昔のごとく薄給はっきゅうあまんじ下男同様の粗衣そい粗食を受け収入の全額を挙げて春琴の用に供したその他経済を切り詰めるため奉公人の数を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
自分は実に薄給はっきゅうでありながらよく働く、俥夫しゃふさえも月に三十円、四十円の収入があるのに、自分の給料はその半額にだも足らぬ。低いものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
このなつかしさに対しては、去年の夏からたがいに許し合っている水泳場近くの薄給はっきゅう会社員の息子むすこかおる少年との小鳥のような肉体のたわむれはおかしくて、おもい出すさえじを感ずる。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)