“萩寺（はぎでら）” の例文
それから僕等は通りがかりにちよつと萩寺（はぎでら）を見物した。萩寺も突つかひ棒はしてあるものの、幸ひ震災に焼けずにすんだらしい。
本所両国 (新字旧仮名) ／ 芥川竜之介(著)
「田端村（たばたむら）の萩寺（はぎでら）の近く。大きな欅（けやき）の樹のある、小瓦塀（こがわらべい）を廻した家で、行けばすぐわかるんだそうです」
平賀源内捕物帳：萩寺の女 (新字新仮名) ／ 久生十蘭(著)
萩寺（はぎでら）の先にある電柱（？）は「亀井戸（かめゐど）天神（てんじん）近道」といふペンキ塗りの道標（だうへう）を示してゐた。僕等はその横町（よこちやう）を曲（まが）り、待合（まちあひ）やカフエの軒を並べた、狭苦しい往来（わうらい）を歩いて行つた。
本所両国 (新字旧仮名) ／ 芥川竜之介(著)
彼はある日散歩のついでにふと柳島（やなぎしま）の萩寺（はぎでら）へ寄った所が、そこへ丁度彼の屋敷へ出入りする骨董屋（こっとうや）が藤井の父子（おやこ）と一しょに詣（まい）り合せたので、つれ立って境内（けいだい）を歩いている中に
開化の良人 (新字新仮名) ／ 芥川竜之介(著)