はなやか)” の例文
陶品せともののビンからいだ飲み物が女の手から渡された。謙作ははしを置いてそれを口にした。と、謙作の前にははなやかな世界が来た。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その練習と言ふ道をとつて、厳粛であるべきお祭りが、我々の日常生活の少しはなやかな時、即ち、晴れの場合に持ち来される。子供の遊戯になるともつと著しいのです。
国語と民俗学 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
謙作がその方を見た時には、女はもうコップを赤く火照ほてった口元に持って往ってなまめかしいえみを見せていた。謙作のまわりにははなやかなかがやかしい世界が広がっていた。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)