茶杓ちゃしゃく)” の例文
また、お茶の世界になじんでいる人々は、ここに掲げたような墨蹟や、あるいは遠州作の茶杓ちゃしゃく花入れを思い浮べる人も多かろう。
遠州の墨蹟 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
姉妹は十二三のころから茶の稽古を始め、妹のなかはすぐに飽きたが、さわはいまでも師匠についてい、茶筅や茶杓ちゃしゃくの作りかたも覚えた。
榎物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ところが最近知人武田信次郎氏から、高川邦子女史の茶室で茶杓ちゃしゃくを取った翁の態度に寸分の隙もなかったので、座中皆感じ入ったという通信があった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
湯気が茶入罐の中の茶に影響するからである。茶は茶杓ちゃしゃくで取り出さねばならぬ。茶杓までもが、優雅の芸術品である。図619はその二、三の形を示したものである。
宗易は、亭主として、点前てまえに坐ったが、茶杓ちゃしゃくの手さき、釜の注水つぎみずの音、少しも乱れていなかった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翁にいわすれば……否、現に前山さんが私に三越楼上で放言した一節を紹介すると……君遠州だっていちいち自分で茶杓ちゃしゃくを削りゃしないよ。皆職人に作らしたものだ。
とばかり、極く近頃、茶杓ちゃしゃく袱紗ふくさいじりをし始めた諸侯までが、折角の志を急に変じて
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
茶杓ちゃしゃく茶碗ちゃわんを守り神のように持たせ、一の中をじっと見つめて、その途方もない夢や太骨へ灰をかぶせて、うずのように無事に、静かに一生涯を全うするようにお育てなさるがよい——と
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)