茶店ちゃや)” の例文
やっ茶店ちゃや辿着たどりつくと、其の駕籠は軒下のきしたに建つて居たが、沢の腰を掛けた時、白い毛布けっとに包まつた病人らしいおとこを乗せたが、ゆらりとあがつて、すた/\行く……
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
この茶店ちゃやの小さいに似合わぬ繁盛はんじょう、しかし餅ばかりでは上戸じょうごが困るとの若連中わかれんじゅう勧告すすめもありて、何はなくとも地酒じざけ一杯飲めるようにせしはツイ近ごろの事なりと。
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それは藤の棚の茶店ちゃやといって、自然に其処そこにある古い藤の棚、といってさまで大きくもないが、それに店の半分はおおわれているので人〻にそう呼びならされている茶店ちゃやである。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と挨拶して、裏へ廻ってみずから竿を取出して攩網たまと共に引担ひっかついで来ると、茶店ちゃやの婆さんは
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
涼しくば木の芽峠、音に聞こえた中の河内かわちか、(ひさしはずれに山見る眉)峰の茶店ちゃや茶汲女ちゃくみおんな赤前垂あかまえだれというのが事実なら、疱瘡ほうそうの神の建場たてばでも差支えん。湯の尾峠を越そうとも思います。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三角餅の茶店ちゃやはこの外れにあるなり。
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)