腹匐はらば)” の例文
国王とモンテスパン夫人との寝台の下に腹匐はらばいになったローザン氏の姿勢は、ちょうど批評界が歴史と真実とをたっとんで取ってる姿勢と同じだった。
と、こんどは白木がひらりと身をひるがえして床の上に腹匐はらばいになると、例の機銃を肩にあてて遂に銃声はげしく撃ちだした。私の身体は、びーんと硬直した。
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
美佐子はベッドの上に腹匐はらばって、青年紳士はその頭のところへ立って。——青年紳士は蟇口がまぐちから何枚かの紙幣をつかみ出してベッドの上にならべているところであった。
秘密の風景画 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
樽野の悴は、着物などはまるで体から離れて腰にはさんだタオルのやうに傍の方にまるまつて、シヤツと股引もゝひきひとつになつてしまひ、腹匐はらばひで、頬つぺたをぢかに畳におしつけ、涎を垂してゐた。
お蝶の訪れ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
今、うちに在り、元気にて、ひっくりかえりて腹匐はらばう事を覚えたり。父親の徹郎君は過日広島へ赴き、新就職。
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は腹匐はらばいながら言った。
街底の熔鉱炉 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
そこで、モグラ下士は、腹匐はらばったまま、背中にとりつけてある小さい無電機のスイッチを入れた。
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
魚油灯が大きくゆらいで、岩礁のうえに腹匐はらばいになっている帆村探偵をみつけました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)