脂色やにいろ)” の例文
向うの書斎に寝てゐる父と一緒に、この明るい世界から永久に離れて、その脂色やにいろの人の居る所へ、何かに導かれて行つて了ふのでは無いかと思つた。
父の死 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
しかしながら風が少しも吹かず、一体に空気が湿つぽく落着いて居て、夕方からのち、街にあかりくと、霧をとほす温かい脂色やにいろの光がすべての物に陽気なしか奥深おくぶかい陰影を与へ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
深き悲痛の脂色やにいろを交ぜたまへ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
正面に近く脂色やにいろをしたのがオペラだ
今、脂色やにいろの点となりぬ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
机に掛けた布の脂色やにいろ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)