肌膚はだえ)” の例文
苦しさに堪えかねて、暫時しばし路傍みちのべうずくまるほどに、夕風肌膚はだえを侵し、地気じき骨にとおりて、心地ここち死ぬべう覚えしかば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
家内はお菊の胸のあたりひろげた。白い、柔い、そして子供らしい肌膚はだえが私達の眼にあった。学士は洋服の筒袖をまくし上げて、決心したような態度で、注肘の針に薬を満たした。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
真夏の日中といえども、肌膚はだえが粟立つばかりの低温を保っているのでありますが、殊に只今は深夜の事とて、その気味の悪い静けさは、死人の呼吸も聞えるかと疑われるくらい……。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
淡紅の肌膚はだえ ふくよかであることだ!