肉漿にくしょう)” の例文
肉漿にくしょうと泥とに、着物は生昆布のように濡れて、縞目も判りませんが、左の胸へは脇差が一本、深々と突っ立って、赤錆に錆びております。
... しぼって肉漿にくしょうにする時にも必ずジャガ薯を食べるのはその訳だ。君今度の御馳走は長崎有名の角煮かくにだからよく味ってくれ給え」客「色々御馳走が出来るね」主人
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
しかし肉漿にくしょうや膿血は拭ひ得てもその欲情のくるしみのしんは残つてゐる。この老いにしてなほ触るれば物をむさぼり恋ふるこころのたちまち鎌首かまくびをもたげて来るのに驚かれた。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
肉漿にくしょう飛び交い、碧血へきけつ草を染むる。悽愴せいそう比なき乱軍であったことを、証するものであるともいえよう。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこを、董卓の家臣たちが、背から突き、頭から斬り下げたので、車蓋まで鮮血は飛び、車の歯にも肉漿にくしょうがかかって、赤い線がからまってぐわらぐわらまわって行くように見えた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肉漿にくしょう 春 第三十二 料理の原則
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)