聞合ききあわ)” の例文
「実際、勤勉だよ。殊に今度の事件に関しては、殆ど寝食を忘れて奔走しているんだ。今日来たのも、何か犯人捜索上について僕に聞合ききあわせにでも来たんだろう。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「じゃ、偽名は橘にしよう。下の家主さんへもそう言って置くぜ。それからちょっと芝の家へ電話をかけて見よう。」重吉は階下したの電話を借りて、今朝方けさがたまでいた硝子屋ガラスやへ様子を聞合ききあわすと
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何本でもみんな製薬用にして返さぬと云うのだから、酒屋でも少し変におもったと見え、内々ないない塾僕に聞合ききあわせると、このせつ書生さんは中実なかみの酒よりも徳利の方に用があると云うので、酒屋は大に驚き
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私の友達の本田ほんだという男を通じてであったから、春泥のことは、私が本田に聞合ききあわせ調べまわった事実を書く時にしるすこととして、出来事の順序に従って、私がこの変な事件にき込まれるに至った
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
方々聞合ききあわしてやっと尋ねて来たんです。