美酒びしゅ)” の例文
土井の出て行った後で、私は下宿のまずい晩飯のはしを取った。……彼らの美酒びしゅ佳肴かこうの華やかな宴席を想像しながら。が土井は間もなく引返してきた。
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
其の翌日、僕は、六ヶ月かかって発酵はっこうさせたC子という豊潤ほうじゅん美酒びしゅを、しみじみと味わったことだった。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ほうに大きな絵蝋燭えろうそくをたて、呂宋兵衛るそんべえは、中央に毛皮けがわのしとねをしき、大あぐらをかいて、美酒びしゅをついだ琥珀こはくのさかずきをあげながら、いかにも傲慢ごうまんらしい口調くちょうでいった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今は他行中であるから帰らないうちに早く往くがよい、もし鬼神を斃そうと思えば、美酒びしゅこく、犬十頭、麻数十斤を用意してくるがよい、そして、重ねてくる時は、午後にくるがよい、それも
美女を盗む鬼神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
夫人を美酒びしゅに酔わせるか、鴉片あへんをつめた水管の味に正体を失わせるか、それとも夫人の安心をかちえたエクスタシーの直後の陶酔境とうすいきょうじょうじて、堕胎手術を加えようか
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
陣前公用じんぜんこうよう美酒びしゅ
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうじゃ、美酒びしゅじゃろうが、もう一杯、いこう」