トップ
>
纒綿
>
てんめん
ふりがな文庫
“
纒綿
(
てんめん
)” の例文
といって、
袂
(
たもと
)
を引き留めたものの、やはりお通も、不可抗力なものでただ
纒綿
(
てんめん
)
と泣くだけの女性をしか示すことが出来なかったのである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幸福中にもまた満足中にも人をして
沈鬱
(
ちんうつ
)
に後方をふり返り見させる記憶の
纒綿
(
てんめん
)
から、彼が免れていたと思ってはいけない。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
例えばゲーテ、シルレル、バイロン、ハイネの如き、何れも情緒
纒綿
(
てんめん
)
たる恋愛詩の詩人であって、同時に一方でヒロイックな叙事詩を書いている。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
豊川はなにも言わないが、やはり倫子の運命を気にしているのだとみえ、クレーデル号の話になると、心の落莫は隠しきれず、渋く唇をひき結んで
纒綿
(
てんめん
)
たる思いを見せた。
川波
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
殊に後者の場合は、前に述べた観察と錯綜し
纒綿
(
てんめん
)
する。
文章を作る人々の根本用意
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
こういう繰り
言
(
ごと
)
を、彼は、朱実へ対していうのか、自己をなぐさめるためにいうのか、
纒綿
(
てんめん
)
とさっきから枕許に坐って
呟
(
つぶや
)
いているのであった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
直視するに忍びない
纒綿
(
てんめん
)
たる情景だったということだった。
蝶の絵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
こうも思い、ああも思い、女性の感傷は、
纒綿
(
てんめん
)
の涙と戯れているようだった。糜夫人も、共に
慟哭
(
どうこく
)
しながら、こよいの関羽の酒気をひがんで云った。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その音のうちには人生の
儚
(
はか
)
なさだの、
煩悩
(
ぼんのう
)
だの、
愚痴
(
ぐち
)
だの、歎きだのが、
纒綿
(
てんめん
)
とこぐらかっているように聞えた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
纒
漢検準1級
部首:⽷
22画
綿
常用漢字
小5
部首:⽷
14画
“纒”で始まる語句
纒
纒頭
纒繞
纒向
纒持
纒擾
纒綴
纒衣
纒足