纏綿つきまと)” の例文
匹夫ひつぷ野人やじんの如く飽くまで纏綿つきまとつて貴嬢を苦め申す如き卑怯ひけふ挙動ふるまひは、誓つて致しませぬ、——何卒、梅子さん、只だ一言判然はつきりおつしやつて下ださい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
官費の教育をけたかはりに、長い義務年限が纏綿つきまとつて、否でも応でも其間厳重な規則に服従したがはなければならぬ、といふことは——無論、丑松も承知して居る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
深い因縁の纏綿つきまとった男が、またひょっこり、自分がまたこの土地に出ていることをぎつけて来たといって、今にもどこかへ姿を隠すようにいっていたのが、一週間ばかりして
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)