編輯局へんしゅうきょく)” の例文
きたな階子段はしごだんを上がって、編輯局へんしゅうきょくの戸を開けて這入はいると、北側の窓際まどぎわに寄せてえた洋机テーブルを囲んで、四五人話しをしているものがある。
長谷川君と余 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その頃さる新聞社の編輯局へんしゅうきょくの顧問的な地位に居た私は、直ぐ様飛んで行ったことは言うまでもありません。
◯「富士」編輯局へんしゅうきょくの木村健一氏が来宅。去る十二月十二日夜、雑司ケ谷墓地附近へ敵機が投弾して火災が生じたが、そのとき木村氏は用があって附近を通行中だった。
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
清岡はわざとうるさいような顔をして、「春さん。ちょっと電話を掛けてくれ。『丸円新聞』の編輯局へんしゅうきょくに村岡がいるはずだから。京橋の丸丸番だよ。呼出してすぐにここへ来いッて。」
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
故人と彼とは同じ新聞社の編輯局へんしゅうきょくに可なり久しく居たのであったが、故人は才華発越、筆をとれば斬新警抜ざんしんけいばつ、話をすれば談論火花を散らすに引易え、彼はわれながらもどかしくてたまらぬ程の迂愚うぐ
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
元電気熔接学校というところが赤旗編輯局へんしゅうきょくと示されている。
風知草 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
代助は表へ出て薄汚ない編輯局へんしゅうきょくの窓を見上げながら、足を運ぶ前に、一応電話で聞き合すべき筈だったと思った。先達ての手紙は、果して平岡の手に渡ったかどうか、それさえ疑わしくなった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)