素懐そかい)” の例文
旧字:素懷
もとが、あちらへ参ったら、覚淵御房にお会いして、伊豆、箱根、三島の三社へ、頼朝の代りに、素懐そかいの大願成就の願文を捧げていただくように、お願いしておいて欲しい。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つまり桔梗の方は、殺された父が鼻のないために極楽往生の素懐そかいを遂げられず、長く宙宇に迷っているような気がしたのである。此れは彼女として実に堪え難い傷心事であった。
「生者は必滅のならい。執着して、いたずらに往生の素懐そかいを乱さるるな」
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
近頃の疑念が残りなく晴れ、往生の素懐そかいをとげたということである。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
往生の素懐そかいを遂げたといわれております。
ちょうどことし七年の回忌かいきを機として、一画像を表具ひょうぐさせ、それをこの夏、妙心寺に納めて供養くようをいとなもうという考えのもとに、折よくこの地方へ旅して来た海北友松かいほうゆうしょう素懐そかいをのべて
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)