笑壺えつぼ)” の例文
「今日はなかなかおもしろかった」といって罪なく笑壺えつぼに入っている所はまことに人の好いもので、私たち夫婦は、つい貰い笑いをして
突然足下あしもとから雉子きじが飛び出したのに驚かされたり,その驚かされたのが興となッて、一同笑壺えつぼに入ッたりして時のうつッたのも知らず、いよいよ奥深くはいッて往ッた。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
いずこまで越したもうやとのわが問いは貴嬢きみを苦しめしだけまたかの君の笑壺えつぼに入りたるがごとし。かの君、大磯おおいそに一泊して明日は鎌倉かまくらまで引っ返しかしこにて両三日遊びたき願いに候えど——。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「ウーム……それから」と、笑壺えつぼにいって一心に聞く。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あとに二人は顔見合せ、徳孤とくこならずと笑壺えつぼる。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)