童部わらんべ)” の例文
行歩ぎやうぶかなへる者は、吉野十津川の方へ落ゆく。あゆみもえぬ老僧や、尋常なる修業者、ちごどもをんな童部わらんべは、大仏殿、山階やましな寺の内へ我先にとぞにげ行ける。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
いつもは涼しゅう聞える泉の音も、どうやら油蝉の声にまぎれて、かえって暑苦しゅうなってしもうた。どれ、また童部わらんべたちにあおいででも貰おうか。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こりゃ童部わらんべたち、一座へ風が通うように、その大団扇であおいでくれい。それで少しは涼しくもなろうと申すものじゃ。鋳物師いもじ陶器造すえものつくりも遠慮は入らぬ。二人ともずっとこの机のほとりへ参れ。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
童部わらんべたちもその大団扇おおうちわを忘れずに後からかついで参れ。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)